エイトヒルズ デリカテッセン

エイトヒルズ デリカテッセン

エイトヒルズの豚は本当に飛ぶのか?

place 彦根市 access_time 2019年12月6日更新

エイトヒルズデリカテッセンは驚きに満ちています。琵琶湖のすぐ近く、湖岸道路沿いに並ぶ住宅の中、周りの家との違いは、ドアの上に高く掲げられた空飛ぶ豚のトレードマークだけです。

日本ではデリカテッセンはあまり見かけませんが、このような静かな場所にデリカテッセンがあるというのは驚きです。とはいえ、滋賀県立大学や彦根の住宅街が近く、羽の生えた豚に代表されるこの奇抜なベンチャーをそんなお客さんが支えています。

エイトヒルズを経営しているのは、幼い頃に両親が同じ敷地で塾とカフェを経営していたという西村武四郎さん。現在、母親は店を手伝っています。タイトなジーンズにスニーカー、ナチュラルパーマの西村さんは、料理店主というよりサッカー選手のようです。

「このお店を始めたのはいつですか?」
「5年以上前です。2014年の4月です。父が亡くなり、カフェが閉店して、大阪やアメリカのレストランで働き始めました」
「どこで料理を習ったんですか?」
「24歳の時に大阪のレストランで働いていて、その後シアトルに行き、そこで一番人気のあるイタリアンレストラン『カッシーナ・スピナッセ』で働いていました」
「アメリカでのレストランの仕事は大変ではありませんでしたか?」
「いえ、とても楽しかったです。必要な技術はすでに身につけていたので、技術的には苦労しませんでした。でも、食文化はとても勉強になりましたね」

西村さんが用意したのは、ほぼすべての料理がのった一皿。私の料理の好みを簡単に聞いた後(キッシュですね!)、真っ白なお皿の上に小分けにした数々の料理を並べていきます。盛り付けは見ていて気持ちがいい。西村さんがお皿の上に何が乗っているか教えてくれます。恥ずかしながら、私はヨーロッパの料理用語のほとんどを知らないのですが、西村さんは根気よく説明してくれます。料理の多くはその国の本物の食材を使っていますが、日本のサツマイモを使ったグラタン・ドーフィノワなど、地元の食材で代用しているものもあります。

どれもこれも美味しい。一つ一つのヴィアンドにも、一つ一つの野菜にも味が詰まっています。サーモンのキッシュは、クリーミーで濃厚で満足感があります。

「このキッシュにチーズは入っていますか?」
「はい、チェダーチーズです。キッシュは食材にお金がかかるので高くなってしまいます。しかし、その値段に関わらずお客さんには人気です。質の高さが評価されているのだと思います。」

エイトヒルズには様々な日本のクラフトビールがあります。まずは、日本で一番のエールと言われている『箕面ペールエール』を選びます。西村さんがダブルウォールグラスの小さなグラスに注いでくれます。食器や食品加工機器、店内の装飾など、どれもこれも、折衷的でありながら洗練されたテイストを反映しています。

「ニューヨークのデリカテッセンを見たことがありますか? 天井から吊るされているものまで、至る所に食べ物があるんですよ」
「いや、見たことないですね。もともとイタリアンレストランで働いていたので、お惣菜を始めようとは思っていなかったのです。でも、ハム(加工肉)を作るのは本当に好きでした。シアトルのパイクプレイスマーケットにある『Michou Deli』の観光客の多さを見て、彦根ではイタリアンよりもデリの方がいいのではないかと思ったのです。アメリカは国際的な食文化があり、デリの方が料理の幅が広いのです」
「そうですね。日本にはあまりないですね」
「エイトヒルズ デリカテッセンの看板を出した時は、何それ?と言われました。で、『デリカテッセン』は流行らないって言われてましたよ。当時は冷蔵ケース1つだけでした」
「まあ、商売としては理想的な状況ですね。みんなが成功しないと言っても、たいていは成功します」
「当社のロゴマークは空飛ぶ豚で、不可能性を表しています。不可能を可能にしたいという気持ちが込められています。私は豚肉の加工品を作るのが好きでして、豚の部位を全部使うことができるので、ロゴに豚を使いたかったのですが、みんなが無理だと言っていたので、豚に翼を与えました」
「挑戦者ですね」
カウンターの上にはシアトルのファーマーズマーケットの写真があります。ランチもディナーも営業しなければならないイタリアンレストランとは違い、エイトヒルズは午前11時から午後7時の営業しているので、西村さんは他のことにも時間を使うことができます。

皿に盛られた白レバーのパテを一口食べてみます。久しぶりにちゃんとしたパテが出てきて嬉しさを隠せません。西村さんはそれを見て、すぐに別の種類のパテ・ド・カンパーニュを厚切りにして、真ん中に干しイチジクを入れて、軽くトーストしたパンと一緒に、可愛いお皿に盛り付けてくれました。そして、違うビールも試してみようと思い、近江八幡の近くで醸造されているTwo Rabbitsのオージーペールエールを頼みました。

西村さんに客層について尋ねました。
「最初の半年間はお客さんが少なかったのですが、3年ほど前に日本でインスタグラムが流行してからはすごく忙しくなりました。お客さんが来て、スマホを見ながら注文するのです。何を見ているのかと聞くと、『インスタ』だと言います。そして、自分が他の人のために作った料理の写真を見せてくれたりもしました」
「お客さんは?大学生が中心ですか?」
「お客さんの層は本当に幅広いですね。論文ができた後にお祝いで来てくれる学生さんもいますが、年配の方も結構いてくださいます。主婦の方も多いですね。京都からも来ていただいてます」

西村さんはジェイミー・オリバーの熱烈なファンです。2000年代には学校給食の質の向上を求めてロビー活動を行い、イギリスの食文化に革命を起こしたジェイミー・オリバーは「子どもたちがおいしいものを知らなければ、ひどいものを食べて満足する大人に育ってしまう」と考えています。彦根の消費者に世界の食を知ってもらうために、また、地元の食材をどのように調理するのがベストなのかを考えるために、西村さんは気軽な料理教室を始めようと考えているそうです。

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