千成亭 心華房

千成亭 心華房

心華房のおいしい近江牛

place 彦根市 access_time 2019年12月6日更新

近江といえば黒毛和牛「近江牛」が有名ですが、その名産地のひとつである千成亭グループは、この地に数多くの飲食店を展開しています。キャッスルロードにある夢京橋店で牛丼を食べ、本社を訪問し、夜は「心華房」で食事をして、とても肉厚な一日を過ごしました。

千成亭には数多くの店舗がありますが、なかでも彦根市中心部の夢京橋キャッスルロードに夢京橋店を構えています。1階は牛丼などが食べられる小さな食堂を併設した精肉店で2階は本格的な近江牛料理が楽しめる「心華房」です。1階の食堂は食券スタイルで気軽に近江牛の牛丼を食べることができます。見た目は小ぶりですが、たっぷりと牛肉が入っている牛丼は、言うまでもなく、大手チェーン店の牛丼とは全く異なります。香ばしく、コクがあり、まろやかで、肉はとても柔らかです。

午後は、千成亭本社を訪問。中に入ると、スタッフ全員が机から立って一斉にお辞儀をしてくれました。これまで日本の多くの企業を訪問してきましたが、これほど印象的な歓迎を受けたことはありませんでした。上田健一郎社長が案内してくれたのは、映画のポスターが並ぶ役員室だった。近江は日本映画や洋画のロケ地にもなっています。上田さんに、ポスターと会社との関係を尋ねました。
「俳優さんやスタッフは撮影中、生活がとても質素で、撮影の合間の食事が数少ない楽しみの一つなのです。千成亭では、近江牛を使った温かい食事を提供しています」とのこと。
国内外の大物スターを起用した数々の人気映画がインスピレーションの源となっているのかもしれません。

上田さんは三代目です。彦根の牧場が描かれた千成亭の将来イメージが額に入って飾られています。 「現在は近江八幡で近江牛を生産していますが、今年からは彦根に牧場を持ち、彦根牛のブランドを確立したいと考えています」とのこと。 牛肉博物館の様子も掲載されています。どんな展示をしているのか、俄然気になります。 「遠い昔、彦根藩は日本で唯一、牛の屠殺が許されていた地域でした。その皮は武器や甲冑の製造に使われていた。当時は薬用以外に肉を食べることは禁止されていたので、残った肉は干し肉にして薬として日本各地で売られていましたし、どこで売られていたのか記録がたくさん残っています。明治時代に外国人旅行者が撮影した写真には、香川の彦根肉の店の看板が写っています。近江牛を歴史的な文脈の中で紹介したいと思っています」と話してくれました。

上田さんは、本社にある店舗を案内してくれました。冷蔵ケースの中には、きめ細やかな霜降りの牛肉が芸術品のように陳列されています。また、豚肉も巨大な豚の煮込みや各種ソーセージなど牛肉以外も種類が豊富です。気になるのは、会社のロゴ。なぜロゴにひょうたんが描かれているのでしょうか。 「長浜に城を構えていた豊臣秀吉の馬印は金色の瓢箪でした。秀吉は日本各地への進出を積極的に行っていたので、その精神を貫く決意を込めて瓢箪を選びました」 外が暗くなってきたので、そろそろ心華房の「近江牛」を食べに移動します。キャッスルロードから階段を上ると、美しく優雅な空間が広がっています。カウンターの一角には、鉄板が置かれていて、ガラスの向こうには複雑な模様の欄間をあしらった壁があります。 「これは素晴らしい。今はこういうのを作れる職人さんが少ないんですよね」 「特別に作ってもらいました 職人さんを探すのが大変でした」と上田さん。

コースは、鮎の飴煮と3種類の冷製ポークソーセージをそれぞれ味付けを変えて食べるところからスタート。山椒が効いた一切れは、すぐにお気に入りになりました。気の利いたウェイトレスさんが数ページ分のワインリストを持ってきてくれましたが、今回は地酒を試してみたいと思い、東近江の「喜楽長」の燗を注文しました。

牛肉の薄切りがたっぷり乗ったお皿と豆乳が入ったしゃぶしゃぶ鍋が運ばれてきました。いろいろな長さにつけて食べてみましたが、結論から言うとミディアムレアが一番合うように思います。牛肉の脂が豆乳に溶け込み、最後にネギときのこ類を加えると、最高の出汁が出ます。

続いては、「ローストビーフ寿司」。濃厚な肉質を引き立てるキャラメリゼオニオンソースを少々かけ、みょうがの漬け物を添えてさっぱりと。 お寿司の後には、初めての牛肉のお刺身。肉はピンク色で脂がのっています。馴染みのある肉の味ですが、しっかりとしたバターのような食感です。 しかし、牛肉の刺身はなかなか食べられないそうで、その理由を上田さんが教えてくれました。 「衛生上の理由から、非加熱で食べる牛肉は外側を炙って食べなければならないと法律で定められています。これは手間がかかるので、ほとんどのレストランではそこまでの準備ができないのです」

刺身の次はステーキです。背の高い帽子をかぶったシェフがカウンターで調理してくれます。写真で見たことがある人も多いかもしれませんが、その手際の良さに魅了されてしまいます。ジューシーで柔らかなステーキを10枚一口サイズにして、好みの調味料でいただきます。シンプルな塩胡椒も素晴らしいですが、わさびの辛みも抜群です。そして、燗の日本酒がぴったり合います。

デザートは、ラズベリーケーキと濃厚な小豆のアイスクリーム、抹茶が添えられてます。

スタッフの皆さんの接客に感銘を受けた私は、上田さんにどうやってそれを実現しているのか聞いてみました。 「新しいスタッフが入ってきたら、千成亭がどんな会社を目指しているのかを説明します。次に、社内の経験豊富なメンターを配置します。また、全店で経験を積んでもらい、それを持ち帰って共有してもらうようにしています。また、スタッフを高級なレストランに連れていって、一流のホスピタリティとは何かを学んでもらったりもしています」 上田さんは嬉しそうな顔で話してくれました。