彦根35万石・大名体験ツアー

彦根35万石・大名体験ツアー

400年前にタイムスリップ!?

place 彦根市 access_time 2021年3月17日更新

彦根市が誇る国宝「彦根城」。江戸時代以前に建てられて現存しているお城はいくつもありますが、国宝に指定されている天守は5城しかないことをご存知ですか?

彦根城は建物そのものも魅力的ですが、まわりに城下町が残っているのも見どころのひとつです。彦根城ができた約400年前、大名や町の人々はここでどんな暮らしをしていたのでしょう。江戸時代にタイムスリップした気分で、情緒あるまち並みやさまざまな文化を体験してきました!

江戸時代から変わらぬ姿でそびえる街のシンボル「彦根城」

歴史を体験するならまずはここから、ということで1607年に築城された国宝「彦根城」へ。彦根城は、関ヶ原の戦いに勝った徳川家康が、西日本へと追いやった大名達が江戸に攻めて来るのをけん制するために井伊直政に建てさせた城だといわれています。

そのため、彦根城には敵の侵入を防ぐための仕掛けが盛りだくさん!例えば、天守に上るためのこの石段は一段一段が不規則に作られていて、駆け上がるとつまずきやすい構造になっています。

城の入り口に通じる「廊下橋」は、敵が攻めてきた時に、橋の片方を外して簡単に落とせる仕組みになっているのだそう。

左右対称のつくりから「天秤櫓」と呼ばれるこの建物には、橋を渡って向かってくる敵を鉄砲で攻撃するための小窓が付いています。

天秤櫓を超えてさらに石段を上ると、ようやく天守が見えてきました。ゆるキャラブームの火付け役となった「ひこにゃん」の登場に、思わずパチリ!

天守に入って上を見上げると、大迫力の梁が目の前に。曲がりくねった木が大胆に使われていて、江戸時代の職人さんのすごさを感じます。

窓からは彦根の町並みや琵琶湖が一望できました。歴代の藩主も、こんな風に自分の治める街を眺めていたのかもしれませんね。

彦根城の後は、代々彦根藩主を努めた井伊家に伝わる美術品や工芸品を展示する「彦根城博物館」へ。「井伊の赤備(あかぞな)え」で知られる甲冑や、国宝の「彦根屏風」が所蔵されています。

奥に進むと、江戸時代から現存する能舞台や、発掘調査をもとに復元された美しい庭園を見ることができました。

400年前の人々が見ていたのと同じ景色を味わい、ゆったりと流れる時間を感じる貴重なひと時でした。

「政所園」で石田三成と豊臣秀吉の運命の出会いを体験!

続いては、1756年創業の日本茶の老舗「政所園」へ。こちらでは滋賀県出身の戦国武将・石田三成が豊臣秀吉に気に入られ、大きく出世するきっかけとなった「三献茶」が体験できるんです!

お店の2階に案内されると、煎茶をいれる道具がセットされていました。それでは早速、豊臣秀吉と石田三成のエピソードを聞きながら、三献茶を体験してみましょう。

戦国時代、近江長浜城主になった秀吉は鷹狩りの帰りに喉が渇いて、途中にあったお寺に立ち寄りお茶を頼みます。対応した寺の小僧は、はじめに大きな茶碗でぬるめのお茶を出しました。

喉の渇いていた秀吉はそれをゴクゴクと飲み干し、もう一杯お茶を頼みます。すると小僧は、先ほどより小さめの茶碗にやや熱めのお茶を入れて持ってきました。秀吉はそれをまた飲み干し、三杯目のお茶を所望します。

最後に小僧が出したのは、小ぶりの茶碗に熱々のお茶を少しだけ入れたものでした。一杯目はゴクゴク飲めるようぬるめのお湯でたっぷりと、喉の渇きが癒えるにつれて二杯目、三杯目とお湯の量を減らし温度を上げていくことで、お茶の風味がじっくりと感じられるようになります。

おもてなしの精神に感動した秀吉は、そのままこの小僧を城に連れ帰り家臣としました。この小僧こそが、若き日の石田三成だったのです。三成はのちに五奉行となり、豊臣政権の中核を担う存在として活躍しました。

体験の最後には、お茶の生葉を蒸して天日干しするという、古来の製法でつくられたお茶をいただきます。戦国時代に思いを馳せながら、三成の気持ちになってお茶をいれ、秀吉の気分でお茶をいただく。目を閉じて豊かな風味を味わえば、二人がやり取りする光景が浮かんでくるようです。

将軍にも献上された伊吹そばを味わえる「つる亀庵」

お昼ごはんは、彦根城のすぐ目の前にある「つる亀庵(つるきあん)」へ。こちらでは、江戸時代に彦根藩へ納められ、将軍にも献上されていた「伊吹そば」をいただくことができます。そのおいしさは、伊吹の人々が藩主に蕎麦を納めるのをためらったほどだとか。

地元の食材や、旬の味覚をふんだんに取り入れたメニューから迷いに迷って2種類をチョイス!こちらは琵琶湖でとれたびわ鱒を贅沢に使った「びわ鱒の漬け丼もりそばセット」です。

もりそばはツルツルとのどごしが良く、奥深いそばの香りが際立ちます。伊吹そばは小粒な分、実に占める種皮の割合が多く、香りが強くなるのだそう。

ツヤツヤの新鮮なびわ鱒が乗った漬け丼は、身が柔らかくて味が濃い!

続くもう一品は「近江牛すじ煮込みつけそば」。トロトロに煮込まれた牛すじがそばとよく絡んで、こちらも絶品です!

デザートに「そば茶プリン」もいただいて、大満足!

レジ横には自宅で楽しめるそばや、そばかりんとうなどお土産にぴったりな商品も並べられていました。さっぱりとコシがあり、風味豊かな伊吹そば。江戸時代の人達がひとり占めしたいと思ったのもわかる気がします!

武士や町人が暮らした城下町を散策

お腹いっぱいになったところで、次は城下町へ。彦根城下の河原町、芹町は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されており、お城を守る足軽衆や町人達が暮らした当時の町並みがそのまま残されています。

古地図が載ったマップを見ながら、芹町の「花しょうぶ通り」にある老舗旅館「鳥羽や旅館」でお話を聞くことができました。

「この辺りは、城下町ができた当時の町割りがそのまま残っています。おもしろいのは、十字路が一つもないこと。見通しを悪くしたり、行き止まりだと勘違いさせたりして敵の侵入を防いだんですね」

「花しょうぶ通りには、江戸時代の建物を改装した郵便局や町家など、登録有形文化財に指定された建物が4軒あります。ひとつの通りで4軒もあるのは、全国でも非常に珍しいんですよ」

こちらは江戸から明治にかけて建てられた3軒続きの大規模な町家。通りに面した格子窓や、隣家からの火事が燃え移るのを防ぐウダツなど、建物ごとにさまざまな意匠が施されています。

「足軽屋敷」は彦根城を守る足軽が暮らした住まいです。武士の中でも最も位が低かった足軽にまで庭付きの一軒家を与えたのは、日本で唯一彦根藩だけだったようです。その恩に報いるべく、足軽達は鉄壁の守りでお城を守ったのだそう。

交差点に面した見張り窓のある建物「辻番所」は、城下町への侵入者をチェックする役割を果たしていました。交差点が微妙にずれているのは、建物の小窓から道路の遠く先まで見渡せるように。お城だけでなく、城下町にまで徹底的に敵の侵入を食い止める工夫がされていたんですね!

「伊勢幾」で大老のおもてなし料理を堪能!

夕ご飯ももちろん大名しばり!ということで向かったのは、老舗料亭「伊勢幾(いせいく)」。こちらでは幕末の大老、井伊直弼が他藩からの大名をもてなすのに考案した「大老料理」をいただくことができます。

こちらが井伊直弼直筆の献立です。素材や調理方法などが絵付きで細かく指示されているそうですが、読めない…彦根城博物館の館長などに協力してもらい解読されて、さらには井伊家の古文書などから調理法を研究し、大老料理の再現に成功されたそうです。

実際のお料理は鴨や鯛、琵琶湖の魚などがふんだんに使われていてとっても豪華!

鯛の田楽は、甘辛い田楽味噌とジューシーな鯛がマッチして、素朴ながら奥深い味わいです。当時、海のない滋賀県で、鯛はなかなか手に入らない贅沢品だったはず。

鴨の身を焼いてほぐしたものは、醤油と大根おろしでいただきます。江戸時代、鴨は琵琶湖で養殖されている彦根の名産品だったのだとか。遠くからの客人を、地のものや貴重な食材でもてなす、井伊大老の温かい心が感じられます。

  • 伊勢幾 ※「大老料理」は3日前に要予約

琵琶湖をまるごと遊びつくそう!

城下町の散策は、駅前の観光案内所などに置かれている各種マップを片手に巡るのがおすすめです!400年前に思いを馳せる旅、江戸時代の大名や町人になった気分で非日常のひとときを過ごしてみませんか?