井伊家35万石の城下町として栄えた彦根には、古くから将軍や大名に献上されていた名産品や、琵琶湖の幸を味わうご当地グルメが盛りだくさん!
城下町ならではの蔵を活かした近江牛の名店から食べ歩きにおすすめの絶品スイーツまで、彦根の文化とおいしいものを味わいつくすツアー、スタートです!
まずは彦根の伝統文化を知るために、七曲がりにある「井上仏壇」へ。「彦根仏壇」は、江戸時代から続く彦根市の伝統工芸品です。
仏壇づくりには7つの工程があり、それぞれの工程を担う職人さん達の手仕事の連携によって、ひとつの仏壇が完成するのだそう。今回は7工程の中から「金箔押し」が体験できるということで、まずはプロの職人さんの工房を見学させていただきました。
「何日もかけて貼るような大きなものは仕上がりが均一になるよう気を遣いますし、細かい部分はヒビが入らないように注意しながら、10センチ四方の金箔を無駄なく貼っていきます。難しいというより、根気がいる作業ですね」と話してくださったのは、金箔押師の宮本美弘さん。この道44年の大ベテランです!
井上仏壇に戻り、いよいよ金箔押しに挑戦!まずは銅製のプレートに、金箔を貼るための糊代わりになるうるしを塗ります。
まんべんなく塗れたら、金箔を貼り付けていきます。薄〜い金箔は、息をするだけでハラハラと飛んでいきそう。
貼れた!と思って余分な金箔を払うと、細かい裂け目が出てきたり。小さく切った金箔で隙間を埋めて、払って、また埋めて…これは確かに根気のいる作業です。
仕上げにふわふわの真綿で密着させて、
完成!キラキラ輝く黄金の馬が浮かび上がりました。あまりにも繊細な本物の金箔を前に一時はどうなるかと思いましたが、キレイに仕上がって大満足!こんな作業をすいすいこなしていた職人さんは、本当にすごいなぁと改めて思いました。
集中力を使って小腹がすいたので、食べ歩きグルメや和菓子店、レストランが並ぶ「夢京橋キャッスルロード」へ。江戸時代の城下町を再現した町並みがステキです。
「近江牛にぎり寿司」の看板につられて立ち寄ったのは「麺匠 ちゃかぽん」。
「近江牛握り三貫盛り」はトロ、赤身、ユッケが一度に味わえるのが嬉しい!ゴミが出ないよう、お皿代わりにせんべいが使われているところも気が利いています。
すぐ近くにある系列店「千成亭」では、近江牛のお肉やコロッケなど、お土産に持ち帰れる商品も販売されています。
千成亭名物の「かのこハンバーグ」は、近江牛の小間を包丁でたたき、網脂で丁寧に包み込んだ贅沢な逸品。お店から配送もできるので、手ぶらで散策を楽しみたい方でも安心してお買い物ができます。
もちろん、食べ歩きにおすすめのスイーツも充実!老舗和菓子店「いと重」には、彦根にちなんだ名前の和菓子がずらりと並びます。
中でも代表銘菓の「埋れ木」は、幕末の彦根藩主、井伊直弼が青年時代を過ごした「埋れ木の舎」から名付けられたそうです。
たっぷりの抹茶パウダーがまぶされたやわらかいお餅に、コクのある白餡が包まれています。お茶と一緒にいただくと、上品な甘さが口いっぱいに広がって、まさに至福のひと時。
日本茶専門店の「政所園」では、石臼で丁寧に挽いた抹茶を使ったソフトクリームが楽しめます。
プレミアムバージョンは、なんと金箔乗せ!先ほどの体験で緊張しながら貼り付けた金箔が、贅沢にソフトクリームの半分を覆っています。濃厚な抹茶の味とサクサクのコーンがマッチして、見た目も味も大満足のソフトクリームでした!
ランチタイムは、琵琶湖でとれた鮎の専門店「あゆの店 きむら」へ。
「あゆ雑炊膳」は、あゆ雑炊、あゆの塩焼き、小あゆ煮など、さまざまな鮎料理が一度に楽しめる人気メニューです。
あゆ雑炊は、干し鮎からとった出汁がよくきいた優しい味。焼き鮎の香ばしい風味が食欲をそそります。
大きな鮎をまるごと一匹焼いたあゆの塩焼きは、塩味がよくきいていておいしい!皮はカリッと香ばしく、身は柔らかくてジューシーです。あゆの店きむらでは原料になる鮎から育てており、肉質が良く締まった鮎は、東京豊洲をはじめ国内外から大好評だそうです。
さて、城下町を散策した後は国宝「彦根城」へ。ゆるキャラグランプリの初代チャンピオンで有名なひこにゃんに会いに来ました!彦根城の入り口にスケジュールが書かれた看板があるので、あらかじめチェックしておくと確実に会うことができますよ。
スケジュール通りの場所で待っていると、奥の小道からひこにゃん登場!
「足元に気をつけて!」の声に、じっと地面を見ながら少しずつ進むひこにゃん。かわいい!
天守の前まで来ると、こちらを向いてめいっぱい手を振ってくれました。
お城をバックに、おなじみの決めポーズ。
お世話係のお姉さんからおにぎりをもらって、ご機嫌のひこにゃん。ちょっとした仕草までかわいくてサービス精神旺盛のひこにゃんに、すっかりトリコになりました!
彦根城に上った後は、ちょっとひと息。「さざなみ酒店」では、散策ついでの軽く一杯にピッタリな「角打ち」を楽しむことができます。
店内には「角打ちの心得」と書かれた貼り紙が。ドキドキしながら読んでみると、堅苦しい決まりごとと言うよりは、角打ちを楽しむための粋な計らいのようです。
日本酒やビールなどいろんなお酒が並ぶメニューから、滋賀県の日本酒が少しずつ楽しめる「県内酒飲み比べBセット」を注文。
フルーティーな甘口、優しくてコクのある味、キレの良い辛口と、3種それぞれ全く違う味わいです。お酒を持ってきてくださった店主の安齋和真さんに、角打ちへの思いを伺いました。
「セットの中身は、あえてタイプの違うお酒をそろえています。滋賀県には33軒も酒蔵があるので、いかにシンプルにそれぞれの魅力を伝えられるかを考えて、このセットをつくりました。ここは彦根駅から歩いて5分もかからないので、観光客の方がふらっと来られることも多いですよ」
「滋賀県名物の鮒ずしは、和食屋さんなどに行くとまるごと1匹お皿に盛られて何千円もしますが、ここでは3切れで600円ほど。滋賀県ならではの味を気軽に楽しんでほしいですから。気に入ったお酒は、もちろん店頭で購入もしていただけます」
お店の内装には、古い蔵の扉や、麹蓋(こうじぶた)という日本酒づくりに使う道具などがそこかしこに使われているのだとか。酒づくりに関わるものに囲まれて、たくさんのお酒を眺めながら、おいしいお酒をいただく。ほろ酔い気分になりながら、なんとも贅沢な時間を過ごしました。
旅の最後は、待ちに待ったディナータイム!ということで向かったのは近江牛専門料理店の「せんなり亭伽羅」。
奥にある特別室は、江戸時代に建てられた蔵を改装してつくられた趣のある和の空間です。
近江牛といえば、やっぱりすき焼き!ということで「夢会席 すき焼き小鍋」をいただきました。
こちらは近江牛のローストビーフ。しっとりとしたお肉の甘みが、口の中でとろける〜!
近江牛の握り寿司は、たたきとローストビーフの2種類。「生のお肉は、よほど新鮮じゃないとお出しできないんですよ」というお店の方の言葉通り、全く臭みがなく、お肉の旨味が純粋に堪能できる一品です。
どれもこれもおいしすぎる!と感動している間に、メインのすき焼きができ上がってきました。
とっても大きい一枚を、贅沢に一口でいただきます!絶妙なタレの甘さとお肉のうまみが口いっぱいに広がって、たまらないおいしさ!
せんなり亭伽羅では、近江牛はもちろん、お米や卵といった他の食材にも並々ならぬこだわりを持たれています。ひとつひとつのお料理に感動しながら、まさに近江牛づくしの贅沢な時間を心ゆくまで楽しむことができました!
彦根城の街には、長い歴史と琵琶湖に育まれた独特の文化やおいしいものがたくさんあります。城下町のレトロな町並みを眺めながらグルメスポットを巡る旅に、ぜひ出かけてみてください!