琵琶湖のほとりにある街、滋賀県近江八幡市。戦国時代に市街地と琵琶湖をつなぐ運河「八幡堀」が整備され、舟が行き交う商業の街として栄えました。
市内にはまるでジブリ映画の世界に迷い込んだような気分が味わえるお菓子屋さんや、運河を利用した水郷めぐりなど、日常を忘れてふと立ち止まりたくなるような風景が盛りだくさん!他にはない、どこか独特の懐かしさがある近江八幡の見どころをご案内します。
琵琶湖に浮かぶ「沖島」は、日本でたったひとつの、湖に浮かぶ有人島です。同様の島は世界にも4つしかないそうで、近年では学術的にも注目を浴びているのだとか。沖島へは、琵琶湖岸にある堀切港から定期船に乗って向かいます。
10分ほどすると、海岸沿いに建ち並ぶ家々が見えてきました。
港には、たくさんの漁船がずらり。周囲を琵琶湖に囲まれた沖島は古くから漁業が盛んで、地元では漁師の島としても知られています。
港のすぐそばで、島内の見どころが書かれたマップを発見!マップの案内に沿って、まずは島の北側を目指します。
住宅の密集する細い路地が、島内のメインストリート。沖島には車もバイクもなく、もちろん信号機もありません。生活感あふれる町並みからは、ずっと昔から変わらず続いてきた人々の暮らしが垣間見えるようです。
路地の片隅には、築100年を超える古民家カフェも。
住宅地を抜けると一気に視界が開けて、目の前に雄大な琵琶湖が広がります。
道端には昔ながらの漁具が置かれていたり、
我が物顔でくつろぐ猫たちと出会ったり。穏やかな風を感じながら、さらに先へと進んでいくと…
湖上に向かってまっすぐ伸びる桟橋に遭遇しました。
桟橋の先まで行くと、まるで琵琶湖の上に立っているような気分!
島の北側には、「千円畑」といわれるパッチワークのように入り組んだ畑の一角が。島の空き地をひと区画千円で分け合ったことからそう名付けられたそうで、区画ごとに思い思いの野菜やお花が育てられている様子は、まるで色鮮やかな絨毯を見ているようです。
ここからは折り返して島の東側にある弁財天へ。階段の入り口に立つ赤い鳥居が目印です。上へと続く長〜い階段を上ると…
琵琶湖を見下ろすように建てられた小さなお堂がありました。島民の間で「弁天さん」と呼ばれるこの神社は、船の安全や災害よけ、雨乞いの神様として古くから親しまれてきたそうです。
振り返ると、赤い鳥居とキラキラ輝く琵琶湖を望む絶景が!ゆっくりと流れる時間の中で、琵琶湖の風を感じながらのんびりお散歩を楽しむことができました。
※2021年3月現在、新型コロナウイルス感染症を防ぐため、有人離島地域においても不要不急の往来自粛が呼びかけられています。沖島には、ウイルスに感染した際重症化しやすいとされる高齢者が多く住まれています。お出かけの際は、マスクの着用や手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスを保った行動など、感染予防の徹底をお願いします。また、外出自粛要請の出ている地域において、不要不急の外出はお控えください。
沖島から近江八幡市街へ戻り、ランチタイム!本格的なタイ料理が味わえるお店「near ThaiL(ニアタイ)」へ。「前菜バスケットセット」は、定番の前菜と数種類から選べるメイン、ドリンクがセットになった人気メニューです。生春巻きやえびせんがアジアンな籠に盛り付けられていてかわいい!
タイ人シェフから学んだ本場の味を日本人にも食べやすくアレンジされているそうで、おいしい上に野菜がたくさん食べられるのも嬉しいですね!
メインに選んだガパオライスは、ピリ辛のひき肉にオイスターソースの味が染み込んでエスニックな香り!トロリとした目玉焼きを混ぜながら食べると、まろやかな味になってよりいっそうごはんが進みます。
こちらはタイ料理の定番、グリーンカレー。唐辛子の辛みがガツンと効いていて、まさに本場の味です。辛さのあとはココナッツミルクの甘みとコクが包み込んでくれる感じで、辛いのに食べ進める手が止まりません!
ごはんのあとは、おすすめの「アイスチェー」をいただきました。かき氷とぜんざいを合わせたようなデザートで、パイナップルや白玉、アイスクリームが贅沢にトッピングされています。冷たい氷と甘いココナッツミルク、モチモチしたタピオカやフルーツが混ざり合ってとろけるような甘さ!寒い冬にはホットバージョンも登場するそうです。
タイを近くに感じてほしいという思いから「near ThaiL」と名付けられたそうで、名前の通り、まるでアジアのリゾートにいるようなゆったりとした時間が味わえるお店でした。
午後からは、近江八幡に行ったら絶対やってみたい!と思っていた「水郷めぐり」へ。地元の方から「手こぎの舟でめぐれる『水郷のさとまるやま』さんがおすすめ!」と聞いて、乗り場へやって来ました。
船着き場には、屋根付きの屋形舟がずらりと並びます。
手漕ぎならではのゆっくりしたスピードで、いざ出発!岸が遠ざかるにつれて、聞こえるのは舟が進んで行く水音と、船頭さんが櫓を漕ぐギィギィという音だけに。
「あの首の赤い鳥はカイツブリ。滋賀県の県鳥です。周りに生えているのは全部ヨシで、夏には4メートルほどの背丈になってすだれの材料などに使われます。ヨシはアシとも言いますが、江戸時代に活躍した近江商人が『アシ(悪し)』は縁起が悪いから『ヨシ(良し)』と呼び始めたことから、この辺ではヨシと言うようになりました」と船頭さんが教えてくださいました。
青い空には優雅に飛んでいくトンビの姿。このヨシ原を中心に、周囲の集落や里山、市街と琵琶湖をつなぐ八幡堀などの景観は、「近江八幡の水郷」として、国の重要文化的景観の第1号に選定され、2008年にはラムサール条約登録湿地にも認定され、世界的にも知られる存在となったそうです。
電線も舗装された道路も見えない、車の音も聞こえない、ずっと昔から変わっていないであろう景色がゆっくりと流れていきます。趣のある風景は、映画や時代劇のロケにもよく使われているのだとか。
途中には、水の神様を祀る「よしの大竜神」のほこらがあり、水郷の守り神といわれているのだそう。
水路の先にある大きな湖は、安土城の西側に位置することから、織田信長により「西の湖」と名付けられたそうです。今自分が見ているのと同じ風景を信長も眺めていたのかな…そんなことを考えていると、あっという間に1時間コースが終了。まるで何百年も前にタイムスリップしたかのような非日常を味わった、水辺でのひと時でした。
旅の最後は、おみやげを買いに「ラ コリーナ近江八幡」へ。運営するのは、滋賀県を拠点に全国に40店舗以上を展開する「たねやグループ」です。
美しい緑に囲まれた広大な敷地には洋菓子店やカフェ、農園などが点在し、まるでお菓子の村のよう!メインショップの「草屋根」など、絵本に出てきそうな建物を設計したのは、有名な建築家の藤森照信さんです。
散歩するだけでも楽しい敷地内には、ユニークな仕掛けが盛りだくさん!
ギフトショップには色とりどりのジャムや、
オリジナルキャラクターを使ったパッケージがかわいいお菓子が並びます。
こちらはラ コリーナ近江八幡限定の「バームサブレをのせたソフトクリーム」。なめらかでさっぱりとしたミルク味のソフトクリームに、名物のバームクーヘンをイメージしたバームサブレが添えられています。夕日に照らされる鮮やかな緑を眺めながら味わうスイーツは、格別でした!
近江八幡は、どこに行っても豊かな水や緑が目の前にあって、大きく深呼吸したくなるような気持ちのいい景色が印象的でした。水郷や自然が織りなす日本の原風景に会いに、そしてここでしか味わえないおいしいものを探しに、近江八幡へ出かけてみませんか?